法人は帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類を、その事業年度の確定申告の提出期限の翌日から「7年間」保存しなければなりません。また、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額等(青色繰越欠損金または災害欠損金)が生じた事業年度においては、「10年間」保存しなければなりません。
上記が法人税法上の帳簿の保存期間に関する記載です。
今まで、これら帳簿書類の保管を紙ですることが一般的でありました(電子的な保存も可能でしたがいろいろと要件が複雑でして…😢)。
「10年間保存するのって長くない?紙保存が原則って時代錯誤では?」
というのが、私が率直に思うところでした。
令和4年1月1日に施行した「電子帳簿保存法」の改正により、 紙保存 ⇨ 電子データ保存へ 時代が変わっていくかもしれません。
A.各税法で原則紙での保存が義務付けられている帳簿書類について一定の要件を満たした上で
電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること及び電子的に授受した取引情報の保存義務等を定めた法律です。
今回の改正において、何が大きく変わったのか、結局のところ何をしたらいいのか。
電子データ保存を3種類に分けて簡単に解説いたします。
・国税関係帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、固定資産台帳等)
・決算関係書類(申告書、貸借対照表、損益計算書等)
・取引関係書類(見積書、契約書、納品書、請求書、領収書等)
これらの書類を一貫してPCにて電子的に作成している場合は、データ保存でOKという保存区分です。
税務署への事前申請の廃止、真実性・可視性の確保要件が大幅に緩和されました。
・取引関係書類(見積書、契約書、納品書、請求書、領収書等)
これらの書類を手書き作成や紙で受領している場合に、一定要件を満たすことで電子データ保存ができるという保存区分です。タイムスタンプの期限緩和(不要となる場合も有る)、紙原本の即時廃棄が可能となりました。
・取引関係書類(見積書、契約書、納品書、請求書、領収書等)
これらの書類をメールやECサイト等の電子データでのみ受領している場合は、その電子データでのみ保存するという保存区分です。
従来では、メールで送られてきた請求書等を印刷して保管をすることが認められていました(出力書面による代替保存)。改正により、電子データのまま保存することが求められ、代替保存が原則廃止となりました(2024年1月より義務化)。
ここが重要です!
必ず対応しなければならないことが“1つ”ございます。
「保存区分③電子取引」です。
準備するもの:保存要件を満たした保存先(クラウド・フォルダ等)
※弊社ではMFクラウドBoxをお勧めしております。
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以下、改正への簡単な対応フローです。
ⅰ.電子取引の棚卸し(電子取引による受領物はなにがあるのかを把握)
ⅱ.電子取引への変更(電子取引に変更可能なものがあればこれを機に変える)
ⅲ.流入ルートの区分け(メール、ECサイト等ルートごとに区分けをする)
ⅳ.流入ルート毎の運用フロー作成(受領から保存までの運用フロー作成)
ⅴ.テスト運用(運用フローをベースにテスト行う)
ⅵ.修正、改善(テスト運用で発見した問題を解決)
ⅶ.本格運用スタート(運用フローは随時ブラッシュアップ)
既存の電子取引が漏れてしまわぬように棚卸しを行う。
新規の電子取引が発生した場合は、ⅲ.流入ルートの区分けから行っていくとスムーズかと思われます。
電子帳簿等保存やスキャナ保存への対応を考えるにあたっても上記対応フロー同様に、業務の棚卸しから入っていくこととなります。
本業をしながら業務の棚卸しをするというのは、そう簡単なことではありません。
時間の浪費、既存のやり方を変更することへの反発、追加業務による業務過多になってしまう可能性もございます。
弊社では、クラウド会計ソフトの導入を始め、そうした会社のバックオフィスのお悩みやご不安に対して、経理コンサルという形で様々なご提案をさせていただいております。
電子帳簿保存法の改正に限らず、バックオフィスのお悩みやクラウドソフトの導入検討等ございましたら、是非一度弊社へお問い合わせください。
文章:税理士法人葵パートナーズ 山田悟史
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