「〇〇さんが、もう会社に来ないって?!」
会社の「金庫番」であった経理の方が急に退職したことにより、頭が真っ白になった。
請求書、給与、税金…すべて彼女の手の中にあったのに。。。
このようなご経験はありませんか。
突然の退職は、ただの「人員不足」ではありません。会社にとって非常事態であり、特に中小企業では、経営者がこの緊急事態にどう対処するかで、会社の信用も、キャッシュフローも、全てが決まってしまいます。
これは、あなたの会社で明日起こり得る現実です。
今回は、経理担当者が突然退職したときの対処法として、「今すぐ取るべき対応」、そして「原因」「リスク」「相談方法」について解説します。
経理担当者が辞める――それも突然となると、会社としては大打撃です。しかし、退職には必ず理由があります。彼らの心の中で何が起こっていたのか、よくある退職理由をまとめました。
1. 人間関係のしがらみと孤立
どの職種でも退職理由の上位に挙がるのが「人間関係」ですが、経理部門特有の難しさがあります。
⚡ 上司・経営層との関係性: 経理の仕事は成果が見えにくく、「やって当たり前」と見られがちです。また、無理な締め切りや抽象的な指示にストレスを感じることも少なくありません。
🤝 他部署との摩擦: 会社のお金に関わるため、営業など他部署との間でルールの徹底を求めたり、板挟みになったりして、不満や軋轢が生じやすい立場です。
👤 少数精鋭ゆえの孤立: 経理は少人数体制のことが多く、悩みを抱え込んでも相談相手がいない、部署内で孤立しやすい環境も退職につながります。
2. 終わりの見えない「激務」と「責任」
「経理は忙しい」というイメージ通り、業務量の多さと精神的なプレッシャーは深刻な退職理由となります。
📈 業務量の過多と属人化: 月次・年次の決算業務や給与計算など、締め切り厳守の業務に加え、人手不足で一人に業務が集中しがちです。特に「ひとり経理」の場合、全ての責任がのしかかり、心身ともに疲弊してしまいます。
⚖️ プレッシャーと責任の重さ: 会社の数字を扱い、時には経営状況まで見えてしまう立場です。不正が起きれば責任を問われ、税制改正(インボイス制度など)があれば、その都度、膨大な対応に追われます。
🙅 ワークライフバランスの崩壊: 激務が常態化すると、「プライベートを犠牲にしてまで働くのはもう無理だ」と判断し、より柔軟な働き方のできる企業へ転職を選ぶケースも多いです。
3. 報われない「処遇」とキャリアへの不安
実は、経理担当者は冷静に自分の市場価値や社内の待遇を比較しています。
💰 給与・評価への不満: 専門性が高いにも関わらず、その貢献度が正しく評価されず、給与水準に不満を感じることがあります。また、給与計算業務を通じて他の社員の給与水準を知ってしまい、自身の待遇への不満が爆発することもあります。
🪜 キャリアパスの不明確さ: 日々のルーティンワークが多く、「このままでスキルアップできるのか」「将来のキャリアが見えない」という不安から、資格取得やより専門性の高い業務に挑戦できる企業への転職を望みます。経理の知識は「つぶしが利く」ため、転職のハードルが低いことも、退職を後押しする一因です。
退職の直接的なきっかけは「人間関係」や「激務」かもしれませんが、根底には、「自分の努力が報われない」「将来が不安」という本音があるのかもしれません。 特に突然の退職の場合、ギリギリまで我慢を重ね、限界に達してしまった結果だと考えられます。
近年、退職代行などを使うなど「突然の退職」は増加しており、「言いたいけど言えない」日本特有の心理的障壁などの様々な原因が潜んでいるといえます。
経理業務は属人化しやすく、突然の退職は以下の大きなリスクにつながります。
| リスクのカテゴリー | 具体的な影響 |
|---|---|
| 業務の遅延・停止 | 支払漏れ(取引先や従業員への信用失墜)、給与計算ミス、請求書発行遅延(売上回収の遅れ) |
| 法的・税務上の問題 | 納税遅延、決算申告の遅れ、コンプライアンス違反(税務調査などへの対応不可) |
| 不正・情報漏洩 | 退職者による機密情報(顧客データ、給与情報)の持ち出しや、退職前の横領・不正会計の発覚リスク |
| 業務のブラックボックス化 | 業務フローや過去の取引の経緯が誰にも分からなくなり、経営判断に必要なデータの信頼性低下 |
まずは業務を止めないための行動が最優先です。
・最優先業務の特定:今月・来月に絶対に止めてはいけない業務(例:給与計算、振込、請求書発行、納税)を特定します。
・退職者へのヒアリング:可能な限り退職者から業務フロー、システムへのログイン情報、直近の作業状況などを聞き出し、メモに残すか、動画で記録します。引き継ぎ資料がなくても、口頭での情報だけでも命綱です。
・マニュアルの作成:他の社員が緊急で対応できるよう、聞き出した情報をもとに簡単な作業手順(特に支払い関連)を急いでまとめます。
・社内での応援:経理業務を理解している社員、または数字に強い社員を一時的にアサインし、緊急度の高い業務を担当させます。
・外部専門家の活用:顧問税理士・会計士は、 多くの経理業務(特に決算・税務)をサポートできます。すぐに連絡を取り、状況を説明しましょう。
・経理代行サービス/アウトソーシング: 給与計算や日常の記帳など、緊急性の高い業務をスポットで依頼できます。
・PC・システムアクセス権の管理:退職者のPCやシステム(会計ソフト、ネットバンキングなど)へのアクセス権限をすぐに変更または停止し、情報を保全します。
・重要書類の確認:契約書、通帳、印鑑、税務関係書類などの重要物の保管場所を確認し、責任者を明確にします。
緊急対応が落ち着いたら、以下の専門家に相談し、恒久的な対策を立てましょう。
| 相談先 | 期待できるサポート内容 |
|---|---|
| 顧問税理士・ 公認会計士 |
緊急時の記帳代行、決算・税務申告、今後の経理体制構築のアドバイス。最も頼りになる相談先です。 |
| 社会保険労務士 (社労士) |
給与計算、社会保険手続きのサポート。労働トラブル防止のアドバイス。 |
| ハローワーク/ 民間の転職エージェント |
後任者の緊急募集。経理専門の人材派遣サービスも有効です。 |
| 弁護士 | 退職に伴う法的なトラブル(情報漏洩、不正など)が発生した場合の対応。 |
今回の教訓を活かし、今後のために以下の体制を整備することをお勧めします。
1. 業務の可視化・マニュアル化:業務を「誰でもできる」レベルまで細分化し、必ずマニュアルを作成・更新します。
2. ダブルチェック体制の構築:支払い業務や重要な記帳は、必ず別の人間が確認する仕組みを導入します。
3. 複数人での情報共有:経理業務を完全に一人に任せず、社長や役員が最低限のフローを把握し、システムアクセス情報を共有しておきます。
4. デジタル化の推進:会計ソフトやクラウドサービスを導入し、手作業や紙ベースの業務を減らし、業務の属人化を防ぎます。
結局のところ、経理の穴は「人がいないから開く」のではなく、「人が辞めたくなる仕組み」があるから開くのです。
緊急対応の後は、人が定着する仕組みづくりにこそ、時間とお金を投資してください。 緊急事態を「体制変革」のチャンスに 経理担当者の突然の退職は、試練であると同時に、会社の経理体制をゼロベースで見直す最大のチャンスです。 業務を止めないための緊急対応ができたら、次は「誰か一人に頼りきり」という危ない経営体質から卒業しましょう。
今回の経験を活かし、あなたの会社を「人が辞めてもビクともしない」強靭な組織へと変革させていきましょう。 この状況を乗り切るために、緊急で税理士や経理代行サービスを探すお手伝いをします、ぜひ一度お問い合わせください!
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