「親が亡くなったが、何から手をつければいいのか分からない」。 はじめて相続を経験する方の多くが、まずこうした戸惑いを感じるのではないでしょうか。
相続の手続きには、期限が決まっているものも少なくありません。 何をいつまでに行う必要があるのかを知っておくだけでも、落ち着いて対応しやすくなります。 本記事では、2026年8月時点の制度に基づいて、相続が起きたときの基本的な流れを整理します。 なお、実際の手続きは家族構成や財産の内容によって異なるため、以下は一般的な流れとしてご覧ください。
相続の手続きは、大きく分けると次のような順序で進みます。
このほかに、死亡の事実を知った日から7日以内に行う死亡届の提出など、葬儀に伴う手続きもあります。 以下では、相続に関わる主な手続きを順番に見ていきます。
最初に確認したいのが、遺言書があるかどうかです。 遺言書の有無によって、その後の相続人の確定や遺産分割の進め方が変わってきます。
自宅で保管されている遺言書(自筆証書遺言)が見つかった場合、家庭裁判所での「検認」という手続きが必要になることがあります(法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用している場合を除きます)。 また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもと開封する必要があり、家庭裁判所以外で開封すると過料の対象となることがあります。 見つけた時点で開封せずに、家庭裁判所や専門家に確認することをおすすめします。
遺言書の内容にかかわらず、誰が相続人にあたるのかを確定する作業が必要です。 一般的には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等を取り寄せて確認します。
再婚や養子縁組など家族関係が複雑な場合、把握していなかった相続人が判明することもあります。 この段階を丁寧に進めておくことが、後の遺産分割協議をスムーズにする土台になります。
預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借入金や未払金などのマイナスの財産も含めて、相続財産の全体像を把握します。
財産の内容によっては、後述する相続放棄や限定承認を検討するかどうかの判断材料にもなるため、できるだけ早い段階で財産調査に着手することが望ましいといえます。
プラスの財産よりも借金などのマイナスの財産が多い場合などには、相続放棄や限定承認という選択肢があります。
相続放棄も限定承認も、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間)に、家庭裁判所への申述が必要です。 財産調査に時間がかかり、3か月以内に判断が難しい場合は、家庭裁判所に申し立てることで、この期間を伸ばせる場合もあります。 期限が短い手続きのため、借金の存在が疑われる場合などは早めに専門家へ相談することをおすすめします。
亡くなった方が生前に事業所得や不動産所得などがあった場合、亡くなった年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに確定申告(準確定申告)を行う必要があります。
準確定申告の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。 亡くなった方が給与所得者で年末調整が済んでいる場合など、準確定申告が不要なケースもあるため、必要かどうかを早めに確認しておくとよいでしょう。
相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」を行います。 話し合いの内容がまとまったら、相続人全員が署名・押印した遺産分割協議書を作成します。
遺産分割協議そのものについて一律の申立期限が定められているわけではありませんが、相続開始から10年を経過すると、原則として特別受益や寄与分を考慮した遺産分割ができなくなるなどの制約があります。 また、相続税の申告期限までに協議がまとまらない場合、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例について、当初の申告では適用できないことがあります(未分割の状態で一定の手続きを行ったうえで、後日協議がまとまった際に特例の適用を受けられる場合もあります)。 できるだけ早めに話し合いを始めることをおすすめします。
相続財産の総額が基礎控除額を超える場合などは、相続税の申告と納税が必要です。 申告・納税の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内と定められています。
不動産の評価や遺産分割協議に時間がかかることも多いため、申告が必要になりそうな場合は、早めに税理士へ相談しながら準備を進めることが望ましいといえます。
2024年4月1日から相続登記が義務化されています。 相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する必要があります。 正当な理由なく申請を怠った場合には、過料の対象となることがあります。 なお、2024年4月1日より前に発生した相続も義務化の対象です。この場合、原則として2027年3月31日までに相続登記を行う必要があります。ただし、不動産を相続で取得したことを2024年4月1日以後に知った場合は、その取得を知った日から3年以内が申請期限となります。
相続に関わる手続きは、内容によって専門家の担当範囲が異なります。 相続税の申告や税額の計算は税理士、不動産の名義変更(相続登記)は司法書士、遺産分割で相続人同士の意見がまとまらず法的な争いに発展する場合は弁護士が対応する領域です。
どの手続きをどの専門家に相談すればよいか迷ったときは、まず状況を整理したうえで、身近な専門家に相談してみるとよいでしょう。
相続の手続きには、相続放棄なら原則3か月、準確定申告なら原則4か月、相続税の申告なら原則10か月、不動産の相続登記なら原則3年というように、それぞれ異なる期限が設けられています。 まずは全体の流れと期限を把握したうえで、財産調査や相続人の確定など、できるところから早めに着手することが大切です。 相続税の申告要否や進め方について気になる点があれば、お気軽にご相談ください。
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